空がきれいだったので
ぼんやりと空を見るのが好きだ。娘が小さいころ、保育園にはベビーカーに乗せて通っていた。
心身ともに大変な時期で、泣きそうになりながらベビーカーを押していた。泣きそうになっていたのは娘ではなく私だ。
今考えると通い慣れた道とはいえ足元が危ないが、押しながらいつも空を見ていた。
ようやく温んだ春の空気を吸いながら、
耳鳴りが残りそうに騒がしい蝉の声を聞きながら、
じりじり焼けるように暑いと思っていたのにいつの間にか透明感を増した日差しを浴びながら、
白い雪片のようなものが舞う風を頬に受けながら。
子供はあっという間に大きくなって可愛らしくも生意気な口をきくようになったが、私の中のイメージは今もベビーカーの中の赤ん坊のままだ。